志太榛原地域支部

指標で見る明治大学(その1/3)

本HP管理人と同じゼミ先輩(横浜市在住)からのメール添付資料

「指標で見る明治大学」 をここに転載しました。    工事中(その3まで予定)

<数学 を新たな武器に> 

☆志願者数4年連続首位 10年来の改革結実

 2013年度に志願者数で4年連続日本一となった明治大学。 新学部の設置や都心型のキャンパス整備など10年来の改革が実を結び、大学界で今最も注目されている大学の一といっていい。 数学や農学など理系分野の強化や国際化での巻き返し、高校生の人気を高めた広報戦略の実態とは。   明治大学の「勢い」の秘密に迫る。

☆指標で見る明治大学

 人気;志願者は4年連続トップとなるなど高校生の高い支持を受ける再開発でモダンなビルが立ち並ぶ街に姿を変えたJR中野駅北口エリア。 明治大学が今春、新設した中野キャンパスに「総合数理学部」はある。「数学で社会を考える」をテーマにしたユニークな学部で、明治大学が狙うもう一段の躍進へのけん引役として期待されている。

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☆ロボットが地図

 「今からこの教室の『地図』をつくってみよう」 5月初旬、新キャンパスの真新しい教室はネットワークデザイン学科の120人ほどの新入生で埋め尽くされ、その通路を自律移動型ロボットが走り回っていた。 センサ―を使って位置情報を認識するロボットの動きに合わせモニターに教室の地図が描き出されていく。

 担当教員の森岡一幸准教授は、「ロボットが位置を推定する仕組みに〝平均値″や〝分散〟などの考え方が使われている」と、グラフや数式を使って説明していく。 「実際の、システムはもっと複雑だけど、とにかくこの分野は線形代数抜きには語れないよ」と授業を締めくくるまで、学生たちは真剣に授業に聞き入っていた。  検索エンジンには線形代数、経済効果の計算には「レオンチェフモデル*1」、暗号には素数ー。

*1;米国の経済学者W.W.Leontief/レオンチェフの名から 産業関連表・一国経済における一定期間内の財・サービスの流れを集約した(表)

 総台数理学部が掲げるコンセプトはこう 新設された「総合数理学部」の授業でした「身近だがブラックボックス化してい 知能ロボットを走行(中野キャンパス)   る社会の仕組みを、数理で解明すること」(砂田利一学部長)であり、目指すのはそこで得た知識やノウへウで産葉界にイノベーションを起こせる人材の育成だ。

 カリキュラムでは3学科すべてで数学や物理、プログラミングなどの基礎をたたき込んだ上で、専門分野を身につけられるようにする。学問としての数学を突き詰めるわけではなく、数学を使って実社会で何ができるかにより重きを置く内容だ。


  ☆ 国内で例なく

 「数学」を前面に打ち出す、国内では他に例のない学部だけに、構想段階では学生が集まるのか不安視する声も上がった。 砂田学部長は「経営上も大きな冒険だった」と認めた上で、「明治が先駆けられるとすればここだ、という判断があった」と振り返る。

 ふたを開けてみれば、1学年260人の枠に初年度受験者は4000人。合格ラインを当初見込みよりも引き上げたが、辞退者も少なく、実際の入学者数が452人と定員の約1.7倍に達する「誤算」まで起きた。恐れていた理工学部との食い合いは起きず、「新たな受験者層を開拓できたようだ」(砂田学部長)とみている。

 総合数理学部の母体は2008年に国が世界水準の教育研究を推進するために認めた「グローバルCOEプログラム*2」の数理科学研究プロジェクト。

*2;Center of Excellence:中核的研究拠点。優れた人材をそろえ、基礎研究の拠点となる研究機関

 その成果から、先に大学院先端数理科学研究科が生まれていた。 決して「ぽっと出」ではないという自信と、若手教員ちの熱意が学部開設を後押しした。 実際、米国では数理科学や統計の学部は一般的で、シリコンパレーをけん引しているのはそうした学部の出身者たちだ。

 「数学では食べていけない」というイメージを覆し、才能ある人材を輩出していけるか。 数学界の関係者も含めて、熱い視線が総合数理学部へ向けられている。

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「MARCH」抜け出せ

農学部で理系女子輝く

 明治大学のユニークな理系の強化戦略は数学だけではない。 首都圏の総合大学には珍しい農学部も最近、存在感を高め、特に女子学生をひき付ける。

 象徴的なのが、2012年4月に千葉や山梨にあった既存の農場を集約して移転新設した黒川農場(川崎市)だ。 約13㌶の敷地に里山の自然と先端的な設備を併せ持ち、本拠地の生田キャンパス(川崎市)から通える距離にある。

 4月下旬、農場の一角にある畑では40人ほどの思い思いの作業着を着た学生たちが、慣れない手つきでスキを使って土を耕していた。 種まきから収穫までの農作業を通年で実践する「農場実習」の光景だ。

 農学部といっても農業関連を専門にする学生は一部で、実習も必修ではない。にも関わらず、全4学科の1年生の9割以上が履修す「農場実習」は9割超の学生が履修する人気た。    るなどの人気科目だ。

 科目(川崎市の黒川農場)                         この日作業していた農学科1年      の女子学生は、泥にまみれながらも「皆で作葉できるのが楽しいので履修して良かった」と笑顔を見せた。共同作業で同級生との絆を深められるのも、農場を持つ農学部ならではの魅力だ。image003

 農学部で目を引くのが女子学生の多さ。 食料や環境といった農学部の研究領域が、女子高生にも身近になり、関心を集めるようになったことが背景にある。早瀬文孝学部長も「社会での『農学』の位置づけが変わってきてい   る」と話す。

 過去5年で志願者数は学部全体で8%増えたが、女子に限ると20%増。 今や農学部の全学生の3分の1は女性で、バイオテクノロジーを学ぶ農芸化学科の新入生は女性が6割だ。 「リケジョ(理系女子)」獲得の成功例だろう。

 新学部づくりや設備投資を通じた明治大学ならではの理系の強化は、実際に高校生を魅力的にひきつけ、志願者数の増加に代表される現在の勢いにつながっている。
image004 今後は、明治大学自らが「弱さ」と自覚する研究力をどう強化していくのか。 明治大学は青山学院、立教、中央、法政とともに首都圏5大学「MARCH」と呼ばれてきたが、獲得した優秀な人材をもとにその課題を克服できれば、そこから抜け出す日もみえてくるだろう。

              May 14 2013
             日経産業新聞

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